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倉敷東ライオンズクラブは岡山県倉敷市東部地域を中心に活動する奉仕団体です。

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貧しい国 〜見直そう 今の生活〜  倉敷市立東陽中学校 堀 尚美 さん


「バナナ一本を家族七人で分けて食べているような国もあるんだよ」

 その日、私は友達と遊びに出かけました。買ってきた色んな物を
前に、したこと・あったことを嬉しげに話していた私に、母が言っ
た言葉。それを聞いた時の驚きは今でも心に残っています。

 お金があれば物が買える。自由に遊びに出かけ、ほしい物を買い、
好きなだけ食べてくることが許されている豊かな日本に生まれ育っ
ている私たち。でも、世界には食べるものさえ十分に手に入らない
ような人たちもいる。
「そういった国もあるのだから、お金の無駄遣いをしちゃいけないよ」
「ご飯も残しちゃいけないよ」
母は、そんなことを伝えるための例として、バナナの話をしてくれ
たのだろうけれど、小学校四年生当時の私は、母の言葉をそのまま
受け取ってしまいました。七人で一本のバナナとは、つまり、一人
一口にも満たない量。それを一日一本だなんて!私だったらきつい。
日本は恵まれているな……そんなトンチンカンな受け取り方をしつ
つも、それ以降、私には「無駄遣い」ということが気になってしか
たがないのです。例えば給食。毎日大量に余るおかずやごはん。ま
た、賞味期限切れというだけで捨てられているという、コンビニの
お弁当やサンドウィッチ。本来まだ食べられるはずのものが、どん
どん捨てられていることも当たり前だとされている私たちの暮らし。
それは「恵まれている」という言葉だけで片付けていいことでしょ
うか。

 この春、私たちの学校は、今までおられたカナダ人の男性に代わ
り、フィリピン人の女の先生を迎えました。
「女の先生って珍しいね」「外国人のわりにはテンション高くない
な」「まじめそう」
友達とそんなことを話しながら迎えた私たち。ほわんとして上品な
印象の先生は、あんまり日本語は分からないようだけれど、生徒に
積極的に話しかけてくれます。話すときはいつも笑顔で、フレンド
リー。私たちにとっては優しい先生ですが、先生達同士で話すとき
は、チョッピリ悲しそうな顔をする時があるそうです。
「日本に比べて、私の国は遅れているから……」
「私の国は貧しいから……」
先生は、よくそんな話をするそうです。確かに、私にとってのフィ
リピンも、豊かではないイメージがあります。彼女のように先生と
して日本に来ている人もいるけれど、家族にお金を送るために日本
で働いている、いわゆる「出稼ぎ」をしている人も多いと聞きます。
また、「児童労働」が行われている国のひとつでもあります。「児
童労働」とは、義務教育を妨げる労働や、法律で禁止されている十
八歳未満のことを言います。この児童労働をさせられている子ども
たちは、世界の子どもの九人に一人いるそうです。貧しくて、子ど
もの労働力まであてにしないと生活できない国が、たくさん存在す
る現実。学校に行くどころか、食べるために働かなければならない
子ども達が世界にはたくさん存在するのです。

 その子たちを守るために「フェアトレード」という制度もありま
す。発展途上国の原料や製品を適切な価格で継続的に購入すること
を通じて、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を
目指す運動ですが、これによって、児童労働をしている子どもたち
の人数がかなり減ってはきているそうです。しかし、まだまだ働い
ている子どもたちはたくさんいます。私と近い年齢の子どもたちが、
強制的に苦しい労働をさせられていると思えば、胸が痛くなる思い
がします。

 日本は恵まれている。いいえ、恵まれすぎている国です。そんな
国で暮らせている自分に、一体何ができるのか。そんなことを考え
ています。まず、物を粗末にしないこと。食べ物を残さないように
すること。お金の無駄遣いをしないこと。ボランティアに参加する
こと。募金に協力すること。少々高くてもフェアトレードの商品を
買うことで、児童労働を減らしていくこと。自分たちの現状に満足
してしまわずに、いろんな現実を知ること。そして、その現実と向
き合うこと。口では簡単に言えても、なかなか実行に移しにくいこ
ともあります。それでも、今の生活を見直して、少しずつ改善して
行けたらと考えています。

 富める国も貧しい国も、みんなが幸せに、平和に暮らせる世界の
実現をめざして。

バナースペース

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