友　　　　　　　　　　　　　　　　岡山市立興除中学校　村松花梨さん

　みなさんは、「友達」と聞くと、どんな人が思い浮かびますか？いつ
も楽しくおしゃべりできる人、優しくしてくれる人、メールやラインの
やり取りをする人、いろいろな人が思い浮かぶのではないでしょうか。

　私には大切な友達がいます。彼女は、私が悲しい時、嬉しい時、いつ
もそばにいてくれます。彼女とは、小学校からの付き合いで、一緒にい
ると前向きになれる。そんな存在です。中学校に入学しても、彼女との
関係は変わらず、同じクラス、同じ部活の仲間として、信頼し合える関
係でした。慣れない学校生活や部活動が辛く感じられることもありまし
たが、励まし合いながら生活していました。部活動では、これからもっ
と練習し、試合にも出よう、と話していたのですが…私は厳しい練習に
耐えられず、部活動を辞めてしまったのです。そんな私に、彼女は、
「もう一回部活に戻ってきてよ。」
と、毎回声をかけてくれます。その度に、繰り返し私を誘ってくれる彼
女の優しさや心の広さに驚かされるのと同時に、尊敬の気持ちが沸き起
こってきます。

　途中で挫折した私に、変わらず優しくしてくれる彼女の気持ちに応え
られるように、私も何か一生懸命打ち込めるものはないか…そう考えて
いた矢先、生徒会役員選挙が十月に行われることを聞いたのです。生徒
会の活動には、小学校のときからずっと興味をもっていたし、みんなは
部活で頑張っているから、私は生徒会に入って、みんなのために役立ち
たい、次第にそう思うようになっていきました。そして、先生に相談し、
立候補することになったのですが、なんと、立候補者の中には彼女もい
たのです。一年生の中から選ばれるのは、副会長一人、運営委員数名で
す。私も彼女もせっかく立候補するからには、副会長になりたい、そう
強く思っていました。私は彼女を尊敬しているし、憧れの人です。です
が、ライバルとなると、話が違ってきます。尊敬しているからこそ、彼
女にだけは負けたくありませんでした。

　そして、生徒会役員選挙、結果発表の日。結果は、票数により、私が
副会長、彼女は運営委員ということに決まりました。結果を聞いて、私
はもちろん嬉しかったのですが、彼女は涙を流していました。いつも笑
顔で明るい彼女の涙を見て、どれだけ彼女が副会長になりたかったのか
が、ひしひしと伝わってきました。私はその時、決心しました。誰より
も学校のために尽くし、彼女に恥ずかしくない人間になろうと。

　その思いを伝えると、彼女は私に、
「花梨はやっぱりすごいね。副会長おめでとう。同じ生徒会のメンバー
　として一緒に頑張ろう。」
と言ってくれました。彼女は、落ち込んでいるにも関わらず、副会長に
なった私に、「おめでとう」と言い、祝福してくれました。人のことを
ねたむのではなく、心から祝福してくれる彼女を見て、改めて彼女のす
ごさを感じました。私は、そんな彼女が友達として、私の隣にいてくれ
ることを、とても誇らしく思います。だから私は、彼女をかけがえのな
い友達として、一生大切にしていきたいと思います。

　みなさんにはそんな友達がいますか？心から尊敬、信頼できる、大切
な人がいますか？最近は、私たち中学生にも手軽に人とやり取りできる
メールやスマホが発達し、生活の一部となっています。深く考えず、軽
い言葉のやり取りをしたり、本心を隠した上辺だけの付き合いをしたり
することも多くあります。もちろん、相談に乗ってもらったり、秘密の
共有ができたりするという、友情を深める側面もあるとは思います。し
かし、ちょっとした言葉の誤解や、感情の行き違いで、それまで信じて
いた友情が、あっという間に壊れるというということもよく耳にします。

　心から尊敬し、信頼できる、そんな友達は、一生のうちにそう多く出
会えるものではありません。その人とはいつ出会うのか、どこで出会う
のか、誰も知りません。だからこそ、今出会っている人たちとの関わり
を、もっともっと大切にしてください。最初は苦手だった子が、何かを
きっかけに、あなたの一生の友達になるかもしれない。そんな可能性を
考えたら、もっともっと友達を大切にしようと思いませんか？

　私は、今出会っている友達と、これから出会う友達を、今まで以上に
大切にしていきたいと思います。そして彼女のように、素直に心から人
を祝福してあげられて、どんな人にも優しく、笑顔で接することのでき
る人になりたいと思います。それが、私の尊敬する彼女にふさわしい人
間だと思うから　

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