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倉敷東ライオンズクラブは岡山県倉敷市東部地域を中心に活動する奉仕団体です。

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読んで広がった知恵     倉敷市立東陽中学校 六車 仁里 さん


 「小学生や中学生のとき、もう少し読書をしておけばよかった。」
大学受験を終えた姉が言いました。
「そうすれば国語の勉強が楽で、テストの点もよかったのに。」

 実は、私も本を読むのが苦手です。進んで読んでいたのは小学校
二・三年生まで。その年頃向けの本は字が少なく読みやすいものが
ほとんどで、苦手だと感じることもなかったのですが。

 四年生ぐらいになると、本も絵の部分が少なくなります。同じ大
きさの字が一ページまるまるずらり。マンガや絵本だと絵や図が入
っていてけっこう読めるのに、字ばかり並んだ本は、読んでも進ん
だ感じがせず、あきてしまうのです。

 読書好きの友達たちは、字ばかりの本をどんどん読み進めていき
ます。そんな中で字が少ない本を読んでいることも恥ずかしく、私
は、読書から遠ざかっていきました。

 そんな私が耳にした、姉のつぶやき。その言葉をきっかけに、私
は本を読み始めました。中学一年生の終わり頃のことです。

 ただし、「読書」といっても一日たった五分間読むだけ。最初は
ドラマ化されたものや自分がおもしろそうと思ったものから始めま
した。やがて少しずつ字が沢山あることに慣れ、それからだんだん
厚めの本が読めるようになりました。

 五分間で読めるのは、十ページほど。それを毎日続け、二〜三週
間で一冊を読み終えます。それでも、こうやって読書を続けること
がテストの点につながるのだろうか。半信半疑で読み続けて四ヶ月
目。国語テストが十五点近く上がったのです。

 たまたまかなと思いました。ところが、それからも国語の点は上
がったまま。
やっぱり、読書のおかげかな?
これ以来、私は読書をするとよいことがあるのではないかと考える
ようになりました。

 そんなある日、家族からこんな言葉をかけられました。
「仁里、最近よく自分の気持を話すようになったな。」
私は、四人兄弟の三番目です。欲しい食べ物や見たいテレビがあっ
ても、我慢しなければならないことがよくあります。嫌なことがあ
っても嬉しいことがあっても、黙っていることが多い方でした。

 それが本を読み、自分の感情を言葉で表している登場人物たちを
知ることで、次第に自分の気持を出すことができるようになってき
た……。読書を通していろいろな言葉を知ることで、自分の頭の中
に浮かんでくることを、言葉を選んで、きちんと伝える表現力がつ
いてきた……。こんな体験を通して、読書をすることが大切なこと
だと、私は思っています。

 最近「若者の本離れ」がよく話題になります。パソコンやスマホ
が普及したことで、それを使う時間が増えている。ニュースなど、
知りたい情報がすぐ見つかるので、紙に印刷された新聞や書籍を見
なくなる……ということが起こっています。

 私もスマホを持っています。確かに便利で、ついついスマホをい
じる時間が増えています。でも、こんな時代だからこそ、読書の大
切さについても考えていきたいと思います。

 本には、テレビなどでは表されていない登場人物の感情や周りの
情景が表現されています。それを読んで考えることで、現実でも
「なるほど」「そういうことがあるのか」と思えるようになり、ど
んどん世界が広がっていきます。ただ知識として知っているのでは
なく、考える知恵がついてくるように思います。

 私は、これからも読書をする時間を大切にしていこうと考えてい
ます。みなさんも、スマホ・テレビなどをする時間をたった五分減
らし、それを読書にあててみませんか。

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