東日本大震災が起きて、四年がたとうとしています。あの日、僕
はテレビで震災の映像を見ていましたが、信じられないようなこと
が起こっていて、すごく強烈だったことを覚えています。その反面、
フィクションのように実感しにくい部分もありました。
僕たち興除中学校生徒会は、今年の7月30日から8月1日までの三
日間、災害ボランティア活動支援事業として、東日本大震災での被
災地のひとつ、宮城県気仙沼市に行きました。その中で、感じたこ
とや考えたことをお話ししたいと思います。
一日目、午後二時頃、気仙沼市に着きました。駅前の様子は普通
の町とあまり変わりませんでした。しかし、移動していて、いちば
ん目についたのは、海沿い一面全部が更地だったことです。駅前は、
ある程度復興が進んでいただけに、このギャップに目を奪われまし
た。テレビで見たことは、やはり現実でした。
その後、市内を回りながら、気仙沼・本吉防災センターに行き、
当時のお話を聞きました。地震や津波の状況を事細かく話してくだ
さいましたが、改めてすごい自然災害だったんだと実感しました。
また、経験した人でなければわからないようなこともたくさん聞か
せていただきました。「自分の命を守ることが、他人の命を守るこ
とになる」という言葉はとても重いものでした。
二日目の午後はボランティア活動を行いました。内容は、津波で
家ごと流されて、土台だけ残っている土地の草抜きでした。草抜き
をしていると、子供たちが遊んでいたと思われるおもちゃの一部が
残っていたり、割れたガラスや日用品が落ちていたりしました。震
災前はここにも毎日の普通の生活があったことを思うと、何とも言
えない気持ちになりました。係の人たちは、住んでいた人がお盆な
どでここに帰ってきたとき、気持ちよくいられるようにしておくと
言っていました。帰る家を失った人達は、どんな気持ちなのだろう
と考えながら、暑い中で作業を続けました。
午後から、水産加工会社の斉吉商店さんでお話を聞かせていただ
きました。その中で、いちばん印象に残ったのは、人と人のつなが
りの中で、人が助けてくれたら、今度は逆に恩返しをしたり、困っ
ている人を助けてあげたりするという話です。当たり前と言われれ
ば当たり前かも知れませんが、この斉吉商店さんをはじめ、被災地
の人達は、そうやって厚い信頼を築き、立ち直ろうとしているのだ
と思いました。
その後、リアス・アーク美術館へ行き、その当時の写真やいろい
ろな展示品を見ました。ここには、実際に使われていた私物にメッ
セージが付けられて展示してあったりと、心に残るものばかりでし
た。いろいろの人の思いを大切にしている様子が強く印象に残った
二日目でした。
三日目は、気仙沼市立条南中学校の生徒会執行部の生徒と各クラ
ス二人からなる復興委員の生徒たちと交流会をしました。また、後
半は、同中学校の運動場半分のスペースに建てられた仮設住宅に住
む人たちも加わって、一緒に活動しました。お互いに意気投合し、
とても充実した時間を過ごすことができました。僕たちの学校生活
や普段の生活で味わったことのないような苦労もあるようでしたが、
それを乗り越えようと、がんばっていることを実感しました。
今回の訪問で感じたのは、地域によって復興の進み具合に差があ
って、完全に復興できるまでにはものすごく時間がかかるというこ
とです。しかし、どんな状況でも、人の命や思いを大切にして、お
互いに励まし合い、助け合って生きようとする東北の人達の姿はそ
れ以上に印象的でした。
岡山へ帰ってきて、今回の訪問を振りかえってみると、まだまだ
僕たちは、防災に対する意識が低いと感じてしまいました。それは、
ある意味で幸せな毎日を送れているのかも知れません。しかし、災
害はいつ起こるかわかりません。実際に災害が起こったとき、自分
たちで考え、自分たちでより安全に行動することができるでしょう
か。どんな状況でも、お互いに励まし合い、助け合っていけるでし
ょうか。
今回の貴重な経験を生かして、防災や町づくり、助け合いについ
て、僕たちは情報を発信していきたいと考えています。避難訓練や
最も安全な避難ルートの確認など、災害時に自分たちで考え、柔軟
な対応ができるよう、一人一人の命を守るための準備をしていきた
いと思います。
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