本文へスキップ

倉敷東ライオンズクラブは岡山県倉敷市東部地域を中心に活動する奉仕団体です。

TEL. 086-441-3298

〒710-1101 岡山県倉敷市茶屋町601-2

芸術鑑賞会から学んだこと      早島町立早島中学校 安井 紗実 さん


 私たち早島中学校の生徒は、先日、芸術鑑賞会で、劇団の方の演じた
「アンクルトムの小屋の灯に」を観るチャンスがありました。それは、奴
隷解放について考えさせられるものでした。その中で私は、奴隷たちに与
えられていた仕打ちなどをこの目で見ることができ、改めて奴隷制社会は
あってはならないものだと思いました。

 私たち人間は働く生き物です。そして、自らの力を自分のために費やす
のは現代の私たちにとっては当たり前のことだと思います。しかし、私た
ちの当たり前が、まったく当たり前ではない時代がかつてはありました。
奴隷制社会のことです。今の私達にはとても考えられない程、残酷で悲惨
な時代でした。

 この地球の上には、数百万種、いや、一億種類を超える程の生き物がい
ます。この、数えきれない程の生き物の中で、理由のない「差別」が存在
するのは、人間のみだと言われています。奴隷制とは少し違いますが、い
じめや男女の差別も例外ではないということだと思います。このようなも
のは現代社会においての大きな問題の一つだと思います。

 1600年代から1800年頃まで、アフリカ人やアフリカ系アメリカ人とそ
の子孫が、肌の色や目の色の違いなどを理由に合法的に奴隷化されていま
した。奴隷たちは、お金で売買される商品のようなものでしかありません
でした。私は、彼らのような奴隷たちや奴隷を売りさばいている人、奴隷
を買う人、そのような光景を黙って見ている人などに、自分だったらどの
ように思うだろうと色々な人の立場になって考えてみました。すると、ど
の人になってもあまりよい気持ちにはなりませんでした。

 時には、奴隷社会が必要な時もあり、社会の仕組みの中で存在していた
こともあるのが事実です。しかし、どの人たちも得をしないことの方が圧
倒的に多い中、奴隷解放の活動は全くありませんでした。

 奴隷たちは、商品扱いはされていましたが、自力で歩くことができるの
で持ち運ぶのには便利でした。更に、優れた奴隷であれば定価より高く売
れることもあり、とても便利でした。

 白人の地主たちには奴隷たちに対して可哀想などの人権意識は全くなく、
野生動物を飼っている意識と同じでした。そのため、奴隷たちが自分の思
い通りに動かなければ、奴隷を殺しても罰せられることはなく、生かすも
殺すも持ち主の自由というものでした。私は奴隷たちを自分のお金で買っ
て自分で殺してしまうのなら、最初から買わなくていいのにとも思いまし
た。それは、人の命をものと同じように扱うような時代だったからなのか
もしれませんし、何か他に理由があったからなのかもしれません。

 奴隷たちが病気にかかれば、自分の力になるどころか看病をする人間が
必要になり、更には薬などの費用や伝染病の拡大を恐れて、すぐに殺して
しまう持ち主も少なくはなかったといいます。そんなに人を殺していたら、
人口がどんどん減っていくのではないのかなと思いました。黒人の人々ば
かりが殺されて、奴隷の数が足りなくなる。そのような状況に置かれて不
便な思いをするのはあなたたちなのでは?もし、私がこの時代に行くので
あれば、このことを伝えたいとも思ってしまいました。ですが、私の意見
などは決して聞いてもらえなかったでしょう。

 また妊娠中の奴隷は通常の二倍以上の値段で売ることができ、競争率も
非常に高かったといいます。競りに出されると通常より高いはずなのに、
すぐに売ることができました。だから、競りに出されている女奴隷を買い
取り、買い取り値よりも高く売る。そのような売り方を皆がしていたそう
です。だから、どんどん値段が高くなって売れなくなるのではないかと気
になってしまいました。でも、理由はどうあれ売れるのです。なぜなら、
妊娠中の女奴隷はすぐに子どもを産むからです。子どもが生まれれば、そ
の子を名家の子どもと偽り、三歳ぐらいまで育てたらすぐに競りに出しま
す。分かりやすく言うと、名家の子どもと偽れば高い値で売れるので、儲
かるということです。更に、妊娠中の女奴隷や小さな子どもの奴隷の数が
少なければ、その分価値も上がってくるということです。しかし、この奴
隷制社会にもいくつかの問題点がありました。例えば、奴隷たちの生活費
の問題です。いくら奴隷でも人間ですから食事を取らせずに、大切な奴隷
に死なれては困ります。だから、白人の主人は奴隷たちに費用をかけざる
をえませんでした。

 そして、奴隷たちはみな人間であるということです。人間という生き物
は、必ずいつかは死にます。更に奴隷はいつもひどい扱いを受けているの
で、平均寿命は圧倒的に低かったそうです。このようなことがあり、奴隷
を買う人々が減ると、奴隷たちは値上がりします。すると、また費用に困
ってしまいます。

 このような色々な問題もあり、奴隷制廃止運動が高まりました。初めは、
人々の理解度も低く、あまり聞いてもらえませんでしたが、徐々に理解さ
れていき、ついに1862年9月に、リンカーンによって「奴隷解放宣言」が
出されました。これは多くの奴隷たちに喜びを与えました。

 私は、この弁論大会に参加するにあたって、今まであまり知らなかった
奴隷制社会について調べたり考えたりすることで、今までよりも深く知る
ことができました。奴隷にされていた人たちは、今自分が思うよりも、深
く傷付いていたはずです。中には奴隷解放を耳にする前に亡くなられた方
々も多いと思います。私たちはこのような事実から、目を背けずに向き合
っていかなければならないと思いました。

 つまり、奴隷制社会をきっかけに命を落としてしまった人たちのことを
忘れずに、今も奴隷のような差別をされている人たちがいるという社会問
題に、真剣に向き合っていかないといけないということです。そしてその
解決の一番の近道は、私だけではなく、みなさん一人一人が自分の近くの
友達を大切にすることだと思います。

 だから私は、今、自分の一番近くにいる家族、友達、そして自分自身を
かけがえのない、何にも代えることができない存在として大事にしていこ
うと決意しています。

バナースペース

倉敷東ライオンズクラブ

〒710-1101
岡山県倉敷市茶屋町601-2

TEL 086-441-3298
FAX 086-441-3299