かけがえのない学び　　　　　　　倉敷市立多津美中学校　今城嬉咲さん

　6月18日、待ちに待った瞬間がやって来ました。その時の事は今でも鮮明に覚えています。相手コートにボールが落ちた瞬間、私達バレー部は県大会行きの切符を手に入れたのです。

　一つ目の目標を達成した瞬間、私達は皆で、
「やったー！」
と叫びながら飛び跳ねて喜びました。コートから観客席を見上げると、両親が身を乗り出し、
「おめでとう！」
と言いながら大きな拍手をしてくれていました。そして、全試合声が枯れるまで応援してくれた後輩達は、一緒に嬉し泣きしてくれたのです。本当に最高の瞬間でした。

　皆さんは中学校生活の中で目標にしていることがありますか。かけがえのない瞬間にはもう出会うことができましたか。

　私は、バレー部に入った時から県大会に出場するということが目標でした。そして練習を重ねていくうちに、漠然と持っていた目標が、どうしても達成したいことに変わっていきました。

　それには三つの理由があります。一つ目は小学校からずっと一緒に頑張ってきた仲間ですが、負けてばかりだったので、このチームで結果を残したかったからです。二つ目は、年間を通して合計で一週間も休みがなく、皆で努力し、先輩が引っ張ってくださったバレー部を後輩に引き継ぐことに誇りを持っているからです。そして三つ目、私達を精一杯指導して下さり、的確なアドバイスをくれ、試合の時には大きな声で応援してくれた顧問の先生や、いつもすぐ側で支えてくれた両親と一緒に県大会に行きたいと強く思ったからです。だからこそ、県大会行きの切符を手に入れた瞬間は、私にとって最高の思い出、そしてかけがえのないものとなりました。

　こんなにも県大会に行きたいと強く願い、それを叶えることができたという何とも華やかな話をしていますが、実はバレーを辞めてしまいたいと思うことは何度もありました。

　バレーは個人プレーではなくチームプレーです。それなのにプレー中の些細なミスの事などで幾度もぶつかり合い、口を聞かないこともありました。チームとしての信頼関係が揺らぐこともしばしばでした。同じ相手に幾度も同じ事を注意されました。私は精神的に強くはありません。ミスをすると声を出さなくなり、足も動かさなくなり、失点をたくさんしました。こんな状態で勝てるのか、県大会に行けるのかという気持ちも正直ありました。

　しかし、そんな不安な気持ちより県大会に行きたいと願う気持ちの方がはるかに大きく私の中にありました。だからこそ、そんな時こそ仲間を信じ、和を作り、皆で出来る限りのことをしようと頑張りました。このチームで県大会に行きたい、顧問の先生や両親と絶対に行きたい、努力すれば勝ちは自ずと付いてくる。諦めたらそこで終わりだということにも気付きました。そしてそのことに気付かせてくれたのは、やはり最後まで頑張ろうと言ってくれた仲間、先生、両親、私を支えてくれた人達だったのです。

　私は県大会行きの切符を手に入れた日に改めて思いました。自分の努力は努力しただけ自分のものになる。その結果、かけがえのない瞬間に出会えた時は最高なんだと。その事を私は身をもって学ぶことができました。

　皆さんはかけがえのない瞬間には出会いましたか。出会えた時にはきっと一生の宝物になるはずです。私は部活動を通して、かけがえのない宝物に出会い、たくさんの事を学ぶことができました。この学びを今後、糧にしていきたいと思います。

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